●第25回短歌会(平成28年度)報告

 

・出展数  118首

・会場   みさと館

・選者   秋葉 四郎

○入選(五首)

 ・夢にだに思はぬ齢永らへて老いをうべなう静かなる日々

                        栗栖 絹枝

 ・日溜りの庭に憩えば眠りよりさめしか蝦蟇が折をりに鳴く

                        水津 正夫

 ・離乳して牧に出たる牛の子がつひに鳴きやみ若芽食みをり

                        尾原 裕子

 ・宵闇に救急車の音去りゆきて一人居の部屋海鳴りつづく

                        長谷川 義剛

 ・陽の匂ひ残る冬服しまひつつ子らの成長手に感じゐつ

                        城市 江梨子

 ○佳作(五首)

 ・二輪車に乗るまで曾孫成長すかかる楽しみありて老いゆく

                        大田 いき子

 ・春雪のとけたる朝にあまた萌ゆふきのたう昨日見ざりし庭に

                        藤原 澄子 

 ・雨水今日甑倒しを迎えたり杜氏の孫が髯を剃りゐる

                        櫻尾 道子

 ・内臓の病ひなけれど認知症出でし夫をただにさびしむ

                        小野 澄子

 ・ことさらに細くなりたる母の声われを忘れずわれを待ちゐる

                        上野 千里